虚構太郎

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4/19 コンピュータと仲良くなりたい・『気狂いピエロ』を見た

ぴゅう太

大学院で専攻を変えてコンピュータ科学方面になったのだが、正直講義や論文を見ても意味が分からない。当たり前だが、基本的には情報系の学部で勉強したとの前提で話が進んでいく。さらに、分からないなりに選んだ研究課題はかなり見通しが悪いらしい。

コンピュータの低級の部分、つまりどんな物理的な実装によりソフトが動いているかに興味があったのだが、当然ここ数十年でたくさんの賢い人が、様々な要求を満たすために、ハード面とソフト面両方においてパワーアップを続けてきたおかげで、今のコンピュータの中身は複雑さを極めている。低級部分の基礎が知りたいなら趣味程度に簡単なマイコンなどを触ればいいのだが、実際研究となれば最先端のブラックボックスマシンを相手にしないと何もできないので大変だ。別に趣味でマイコンやら電子回路をいじるほどマニヤじゃないし、適当すぎたかもしれない。

とりあえず、図書館で手持ちのコンピュータ関係の本を読みとばした。あんまり読みかけの本があると気分が悪いので、関係ないところは関係と割り切るためにもさらっと目は通した。最初の方だけやる気があって、そのあとどんどんやる気が失せていくのを繰り返しているので、最初の部分だけ妙に見覚えがある。そしてまた、とりあえず適当に役立ちそうな、やたら分厚くてデカい本を何冊か借りてきた。

そんなアホみたいに重い本を抱えて有楽町の映画館に向かった。ゴダールの『気狂いピエロ』がリマスターされて再演されるとのことで、一回レンタルしたのを見たときは断念したので再チャレンジしに来た。あんまり面白くはなかったが、悪い映画ではないような、でも金目当てにアメリカ兵とベトナム人を戯画して演じるところで、ベトナム人を演じている白人が顔を黄色に塗って甲高い声でピーピー言ってたのはちょっとムカついた。最初から、監督名や主演などのスタッフ名がアルファベットごとa,b,c...と順に浮かびあがってきてくるところからオシャレで、また映画が本当に始まると、ベラスケスというスペイン絵画の巨匠を称えた文を男が風呂でタバコを吸いながら読むという、これまたしゃれていてスノッブのきいた場面が来るといった感じで頭がこんがらがった。その後もそんな調子で、詩を読み、西洋の有名絵画が画面にインサートされたりしながら、展開される話は既婚者であるその男が5年ぶりに再会した女と無一文で逃げだし犯罪を重ねながら南フランスで逃避行生活をするという内容だ。

他に見ている人間は、有楽町だったのもあるが親と同じかそれ以上くらいの年をしたサラリーマンなど。古い映画だしそんなもんなんだろうが、そんなもはや古典的である意味では権威的な映画をまた見ていてどうしたものかという気持ちにもなってくる。自意識が邪魔して素直に映画が楽しめないのは自分のせいなのか、映画のせいなのか、人のせいなのか。

それでも悪くない気がしたのは、お互い愛の言葉をかけあっているようなシーンでもなんか適当で投げやりで自然体に見えたところで、またその後女に裏切られても男はそんなに動じた様子を見せないし、裏切ったと思った女は飄々と男の前に現れる。そんな淡泊さはちょっとかっこよかった。

 

あと今日はずっとDeepersを聞いててかっこよかった。速くてちょっと甘いメロディで激しめの音が中二病的な感性を刺激してくる。やっぱり『My Speedy Sarah』がいい。中学生とか高校生くらいで知れたらもっと好きになってた気がする。

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