虚報太郎

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4/22 東海道

交通系YouTuberの動画を見ていて、交通史に興味が湧いてきて調べてみたら、東海道新幹線の開業までの背景を、「物語」の転換という軸で見る研究が見つかった。

梶原大督; 中野剛志; 藤井聡. 「交通」 における物語研究―東海道新幹線を事例として―. 土木計画学研究・講演集, 2011, 43.

http://chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/images/stories/PDF/institute_paper/kajihara_ipspring2011.pdf

僕のような門外漢が読んでも、非常に面白い内容だったので、ぜひおすすめしたい。要は、今では新幹線の開業というのは当然の成り行きのように思われるけれども、新幹線構想が提案された昭和30年頃には、夢物語だと思われていた。それを当時の国鉄総裁十河が、世界最速の鉄道を作ろうとナショナリズムを焚き付け、元軍事技術者を引き入れ、最後には東京オリンピックと重ねることで、国家的事業に仕立てあげていった、という話だ。

まず、新幹線が当時反対多数だったというところが、個人的には驚きだった。この研究にいえば、新幹線が完全にドミナントストーリーになったということだろうけど、それゆえに、現在全国各地に新幹線が張り巡らされ、リニア新幹線なるものも作られようととしている。逆に、新幹線が提唱された当時から全く事情が異なる今現在、必要性を考慮する立場も必要なんじゃないかとも思うが、この話からも分かるとおり、ドミナントな物語に異を唱えるにはかなり骨が折れるだろう。

この研究の趣旨は、土木事業を「物語」や「説得」の観点から見るというもので、集団のモチベーションを高揚させるか、という話になる。今、日本で国家的な土木事業をやる必要はあまりなさそうだけど、今最先端のIT事業を国家プロジェクトとして、大人数が共有できる物語としてやることは、可能なんだろうか。そうでない範囲で、そもそもインターネットは、国が及ばない場所であって欲しいという願いがあり、そういった考えも一因として国家が後手に回らされている印象にある。しかし、そういった考えも今や一転して、管理を望む声が増えている印象もある。

 

そもそもの関心は、どのような背景(政治や技術)で東海道やら中山道の交通ができたのか、その歴史で、例えば東海道の歴史は、古代の官道に遡ることができ、その後の政変に応じて役割を変えつつ、江戸時代になって五街道の一つとして整備された、みたいな流れを知りたいから、調べようかしら。