石原慎太郎が、ガンで余命宣告を受けた後に綴った文章についてのニュースをYouTubeで見た。文章については抜粋での紹介だったが、文の大きな流れとしては、当惑、動揺→でも俺は潔く逝くぜ、という感じっぽい。ところどころの読み上げられる文章が生々しく、80も後半の超高齢者になってもやっぱりこんな動揺するんだ、と嫌な知識を得てしまった。
最後に潔くなるというのも何となく分かる。
たしか余命宣告を受けた後の人間の精神の動きとして、まず動揺し、その後激情に転じ、そして消沈して、受容、という流れがあるという話を見たことがある。ようは、思い悩むことに飽きる、諦めるということだろう。思考停止。しかし、おそらく常に死が頭を離れることはない。無限に停止し続け、周りを回っていくような状態。
そこで潔くしようと、泣き喚こうとも、それは戯れなんだと思う。自ら命を断つということすらも。
Deerhunterの『Halcyon Digest』に収録されている『Basement Scene』という曲が好きで、気の抜けたポップなコードから始まり、ダラダラと続く曲は、まさしくグルグルとその場を行ったり来たりするような不毛感。歌詞も
Dream
(中略)
I don't want to wake up
...
や
I don't want to get old
のように「夢から覚めたくない」「歳をとりたくない」と歌ったかと思えば
二番では
I wanna wake up now
It could be the death of me
や
I don't wanna get old
I wanna get old
I wanna get old
などとてんで逆のことを歌う。
曲調の間の抜けた感じや、Bradfordの官能的な歌声は、まさに死の周りで戯れているよう。