『リリィ・シュシュのすべて』を見た。何年か前に30分くらい見て、学生生活の描写が辛くてやめたが、今回は最後まで見れた。
中学生の残酷さを見せつけられた後に、時間が巻き戻り終わることが分かり切った学生生活を見ていくのが一番キツかった。
ただ、映像の美しさは素晴らしい。青々と広がる田園、夕暮れの空。山地を除けば、日本の風景で最もよく見られるであろう、この田んぼの風景が目にしみる。また象徴的に現れる煙突。アメリカの田舎を舞台に『ツインピークス』の冒頭でも煙突がやはり地方の寂れの象徴として出ていた。そんな美しい風景を舞台に描かれるのは、見るに耐えない密室的な学生生活の醜さ、閉塞感。
一番良かったシーンは、ヒロインが襲われて、主人公が泣き叫ぶところ。これ以上に下はないところに落ち込んでしまったとき、不思議と安心する。
現実から逃げるように、本を読み映画を見ていた。これでいいんだと押さえつけるようにするが、対象のない不安がべっとりと拭えない。動き続けないといけない。どこにも行きたくない気持ちとここにいたくない気持ちが同時にある。
だからいつもポテンシャルを失わないようにすること、動くことへの執着があり、成ることにはあまり興味がない。目的はないので、実のところ何でもいい。
人に理解されないことについて、感情としてはどうでもいいが、人とやっていくにはどうにも必要らしくそれが辛い。