虚報太郎

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5/13,14

疲れているので足早に記すと、この土日は3つの美術館に行った。

一つは根津美術館、日本や東洋の古美術をメインに展示しており、今回は国宝・燕子花図屏風を展示していた。

日本において国宝や重要文化財の美術品は、展示の期間や移動について原則として制限がある(法的な拘束力はなかったと思うが)。そういった背景もあって、燕子花図屏風も、燕子花の咲く4〜5月の一月程度しか見ることができないはず。保存の問題があるとはいえ、海外の美術館では国の宝をいつでも見せてるのだし、ケチくさいこと言わないでくれとは思うがそれは置いておいて、燕子花図屏風は面白かった。

同時代の図屏風や絵をみると、細密な描写だったりするわけだが、この図屏風で描かれる燕子花は、描き込みの少ない、塗りも割とフラットだ。そもそもこの図屏風には燕子花しか描かれていない。燕子花は水辺に咲く花だが、水辺もその周りの情景も一切省かれ、燕子花の群れがあるだけである。面白いのはその群れの形で、右から左へ見ていくと、sinのグラフのように上下に波打っているようだ。解説を見ると、これを「幾何学的」な配置と称していた。リズミカルで見ていて気持ちがいい。

見ている印象としては抽象画に近い。しかし、抽象画にある、こちらを混迷に引きづり混むような、暴力的な感じはなく、それはあくまで燕子花という具象を描いているからだと思うけど、自然と「絵」としての面白さに導かれるようなところは良いと思った。

2つ目は、パナソニック留美術館。こちらはルオー展をやっていた。ルオーは、フランスの画家で、20世紀に活躍している。ピエロや裁判官、イエスなどの人物を、キャンバス上にこんもりと塊として盛り上がるほどの絵の具で描いた絵が有名?だと思う。印象としては、非常に抒情的だった。ピエロの絵を描いている時は、非常に暗くて、絵に寄って見ないと顔が分からないような絵もある。また、寓意的な絵、首を吊った人間が描かれている「ホモ・ホモニ・ルプス」も良かった。

3つ目は、草間彌生美術館。白を基調とした、近代的な非装飾的ビルで、草間彌生っぽさはあまりない。館内は結構狭く、展示されている作品も案外少なかったので、ちょっと物足りない。パリのモロー美術館も、街中の建物にあって(アトリエ兼自宅が美術館になっていた)、狭かったが、こちらは所狭しと絵が並ばれて面白かった。

草間彌生美術館も、小綺麗に置くくらいだったら、もっと無茶苦茶に置いて欲しい。