虚報太郎

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11/16 棟方志功展(国立近代美術館)に行く

今日は、週に4日ほどあるチートデイということにして、国立近代美術館へ行った。

現在、国立近代では棟方志功展が行われていた。棟方志功は、青森出身の版画家で、戦前から戦後にかけて活躍しており、国際的な美術展にも出品した、偉い人であるらしい。

棟方志功は、最初ゴッホを見て感激し、油彩画家を目指していたそうだ。最初に油彩画が展示されていたが、確かにゴッホセザンヌなどのポスト印象派から学んだのだろうという風景画だった。白樺派が紹介したからか、大正ごろの日本の画家は皆、その辺りのフランスの画家に影響を受けている印象がある。

版画を開始してからは、神道の神や仏から当時の人々を描く、土着的な作品が続いた。最初は小さい、24インチのモニターくらいのサイズのものや、本の表紙が主だった。画面に挿入される大胆な黒や幾何学的模様、独特な形態が面白い。

だが、特に印象的だったのは大きな作品で、目の前にした時は胸がドキンとした。

門舞男女神人頌

例えば、上掲の版画。16枚の縦長の大きな版画で構成された大作で、廊下を曲がったところの突き当たりに突然現れるため、本当にたまげた。

一つ一つを取ってみても、人のポーズ、布地の幾何学模様、顔の表現が、ケレン味がありつつ、洗練されていて、ただただ圧倒される。

運命頌

ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』を題材にし、冒頭の文章まで刻み込まれた4つの版画も面白い。入れ墨のような、縄状の紋様が無数に画面を覆い、捩れた体がその中をもだうように這っている。

張り巡らされた模様は、手作業的な波打つ揺らぎを持ちながら、全体を回る秩序を形作っており、底知れない力を感じさせる。

版画ってこんなに迫力あるんだなあと素直に感動した。会場内は、平日にも関わらず多くの人で混雑していたが、人気の理由も頷ける。西洋古典絵画的なだまし絵的イリュージョンを介さず、絵から直接やってくる強さがある。

 

その後常設展に向かった。国立近代は、常設展も充実していて、日本の明治以降の作品から、西洋の近代絵画、現代美術まで、幅広く取り揃えている。

無題 (多角形のある頭部) - ジャクソン・ポロック