虚報太郎

書きます。Twitter→@iamsomepen

3/16! "The Microphones"を聞いたの巻

最近2000年前後のアルバムをよく聞く。例えばWilcoの"Yankee~"やModest Mouseの"The Lonesome Crowed West"、"The Moon & Antarctica"など。この時期は、Nirvanaきっかけのオルタナバブルもはじけただうるさいだけではいかんという反省のもとエレクトロニカやカントリーなど色々な要素を取り入れつつ音を"引き算"しているバンドが多いなと勝手に思っていたりする。まさにそんな感じ?のバンドなんじゃないかと思うのがThe Microphonesだ。

今日聞いたのはおそらく一番世の中的に評価されていそうな"The Glow, Pt. 2"である。わざわざこうやって話題に出すくらいなのでもちろんよかったのだが、一番引っかかったのは聞いててどんどん悲しくなってきたところで、そこが本質的な部分なのかどうかも考えられたらうれしいなといったモチベもある。まずやはりこのアルバムのフックとなるのは音作りで、同時代のWilcoなどと通ずるような、Lo-Fiっぽいけどなんかはっきりした感じがする。そのあたりはその後のインディロックにも引き継がれていってると思うが、やはり本当のLo-Fiであるところの初期PavementThe Velvet Undergroundと比較すると、そこには'生っぽさ'を表現するための作為的なものを感じる。自分でもあまり確信が持てていないのでこれ以上は追及しないが、ともかくこういった音作りがいいねというのが一つ。もう一つのフックは、'爆音'曲の存在だろう。基本的に前半までは、不穏なところはあるとはいえ、アコースティックを基調とした静謐な曲しかないが、11曲目"The Gleam Pt. 2"をきっかけに裏の急き立てるようなドラムが印象的な'Map'、ノイズ始まりの'I Want to Be Cold'と様相が変わってくる。そこにきてラストから2番目の"Samurai Sword"で、激情HCを彷彿とさせるもはや音割れした暴力的な曲にほぼ囁きの歌が印象的な、盛り上がりが最高潮に達する。そのノイズは、シューゲイザーのような耽美なものというより、ノイズ本来の暴力性が強調されたものでMy Bloody Valentineの1stが近いかもしれない。そんな'爆音'曲で最後まで引っ張ると思いきや"Samurai Sword"は曲の半分くらいで唐突に終わって*1、最終曲"My Warm Blood"の頭で何か始まったと思いきや2分くらいで音は止み、ホワイトノイズだけがのこり8分ほど続く。この煮え切らなさが、前にいった悲しみで終わるところにつながるのかもといったところで、アルバムの第一印象としたい。

何だかんだいってよかったのでぜひアルバムを通して聞くといいのではないでしょうか。

The Glow Pt. 2

The Glow Pt. 2

music.apple.com

 

 

*1:曲の途中で終わるというのもおかしな話だが、ようは"My Warm Blood"と同様で途中からはほぼ無音になってしまう