虚報太郎

書きます。Twitter→@iamsomepen

かれこれ、トイレに数時間立て篭っていた。便器には無数のタバコの吸い殻が浮いている。

僕は死のうと思った。タバコの煙で。視界は、煙で霞む、はずが全然そうなっていない。

なんだか、おかしいなと思いつつ、ぼんやりしていてさらに小一時間。ふと、天井を眺める。愕然とした、トイレには換気扇があるんだった。

 

金がなく、やることもない。とりあえず外に出てみたものの、街は人が多い上に、金がなければ邪魔もの扱いだから行きたくない。自ずと、この都会で行ける選択肢は限られる。

昼下がりの公園は、人がいなかった。遊具は、鉄棒、砂場、くらいのシケた公園だから子供もいないのか、いやそもそも学校へ行ってるか。

まずは鉄棒へ。一旦、逆上がり、小学生の頃は出来なくて、練習までさせられたけどそれでも出来なかったいわくつきのやつだが、大人になってみたらできるようになっていた。なんでもこうやって時が解決してくれればいいのにと感傷的になりつつ、体を回してみる。

2、3回くらいやって飽きて、今度は前転をしてみたけど、それは一回で飽きた。他に鉄棒で出来ることを知らない。まじめに体育の授業を受けておけばよかったと初めて思った。

今度は自販機に向かう。ここで飲み物を買う余裕は当然ない、目的はその下にあるかもしれない小銭。自販機の前につき、地面に這いつくばる。下は薄暗く、目では完全には見通せない。手を伸ばし、確認する。何もなかった。重い体を持ち上げて、自販機を眺めた。今どきのやつは、電子マネーに対応しているらしい。恨めしくて、蹴り飛ばしたくなったけど、そんな度胸はない。心の中で粉々にして、水道へ。水をたらふく飲み、ベンチに腰掛けた。

急に静けさを感じる。嫌なことが段々と思い浮かんでくる。

スーパーのアルバイトをしていた。

仕事は退屈で、口うるさい店長、ぺちゃくちゃ無駄話を続ける女子高生バイト、その他何も話さない店員、客たちは苦手だった。取り立てて嫌なことがあったわけではない。だけど、これがずっと続くと思うと耐えきれなくなって、後先考えずやめてしまったのが数日前のこと。今は正真正銘の無職。

………………。

はっと、起きると、15時過ぎ。子どもたちが遊んでいる。保護者も見える。

よその子どもは苦手だ。なんか気まずい。さらにその保護者がいると、何だか自分がマークされているような最悪な気分になる。愛は排他的で辛い。

勝手に排除された気分になって公園を抜け出すも、行き場はない。はっと空を見上げると、綺麗な秋晴れだった。ため息一つついて、そろそろとあてもなく歩き出した。

 

(注意:全て架空の出来事です)