虚報太郎

書きます。Twitter→@iamsomepen

7/20

先日ブックオフで『世界の美術』という、古代から現代までのアートをアーティストごとに載せている図鑑を買った。世界と言いつつ、やはり圧倒的に西洋偏重であるものの、その西洋美術に限っては非常に網羅的で、図版も豊富なので見ていて楽しい。本の冒頭に絵の素材、色、構図等の説明があったり、有名絵画については、見開きで各部分について詳しく取り上げていたりなど、丁寧な解説もあってありがたい。

一通り眺めて、好きだと思ったのは、まずメソポタミア、エジプト、ミノスなどの古代美術、イタリアそして北方のルネサンス、イギリスのロマン主義、ポスト印象派象徴主義抽象絵画など。基本的には、ロマンチックで壮大だったり、不思議だったりと、ここではない世界を想起させてくれるものが好きで、そういったところで一貫していると思う。

上述したもので抜粋して取り上げると、ルネサンスというと一般にはダヴィンチ、ミケランジェロラファエロ等のイタリアルネサンスを思い浮かべると思う。もちろんイタリアのものは、絵画や壁画、彫刻、建築など規模が大きく、迫力があって好きだが、個人的には北方ルネサンスを推したい。北方ルネサンスといってもいくつか流派があるが、全体的な特徴として、細密な描写がある。例えば代表的画家のヤン・ファン・エイクの『アルノルフィーニ夫妻』を見ると、今のスーパーリアリズム絵画のようなリアルさ、部屋のしんとした空気が伝わってくるような感覚がある。他には奇妙な題材の絵がしばしなあって、有名なのはボスの『快楽の園』だが、他にもブリューゲルや、版画になるがデューラーなど。ボスやブリューゲルの絵画を見ていると、その奇妙な生き物がまず目にくるが、それ以外にも人々の日常のシーンや間抜けな姿などをいきいきと描いているところも面白く、一面に子供たちが暴れ回る、『子供の遊戯』なんかは、ウォーリーを探せのようなワクワク感がある。

西洋絵画というと変にかしこまった感じがするが、なかなか面白い絵がたくさんあるのでおすすめ。本当は抽象画やセザンヌの話もしたいが時間がないのでまたの機会に。