虚報太郎

書きます。Twitter→@iamsomepen

8/10

不思議なことに、いい抽象画を描いている人は具象画もいい。クプカとカンディンスキーのことだけど。カンディンスキーは、鮮やかな色彩をベタベタと塗りつけたような絵画を初期に描いている。

Das bunte Leben (Wassily Kandinsky)

クプカの具象画は、象徴主義で、タッチがびっくりするほど美しい。あと、神秘的なモチーフが多いが、その神秘的な"空気"が描けている。要は、パワースポット的な神社やお寺、教会等々にいったときに感じる、厳かさが絵画の中の空間に満ちているように思わせるイリュージョンがある。画集で見ただけで、すげえってなったので実物みたら腰抜かしそう。

でも、やっぱりメインディッシュは抽象画の方で、特に好きなのが板が並ぶ絵。

垂直の面Ⅰ』 フランティセック・クプカ | ネット美術館「アートまとめん」

絵に含まれる意味というのは、必ずしも、描き込みに比例しない。SNSでも見かける写真と見間違うように描いたハイパーリアリズム絵は、それだけでしかない。一方で、四角しか描かれていないロスコの絵には、絵の具のまだらやその窓のような画面に、奥行きを見出す。クプカの抽象画も後者で、上の絵なんかは、平らなはずの絵にもう一つの観念的な世界が広がっているように見える。遠近感をもたせるように配置された板が空間を織りなしている。

形而上絵画で有名なキリコが来年日本に来るらしい。キリコがまとまって見れる機会は中々ないので非常に楽しみ。