虚報太郎

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12月読んだ本

言語が消滅する前に 國分功一郎, 千葉雅也 

一月以上前であまり、覚えていない。結構いいことを言っていた気がする。

大学に勤めつつ、積極的に一般向け書籍の出版、メディア露出をして、専門知識をわれわれ大衆に合うように再解釈し伝えようとする点で、二人は共通している。両者のそこへのアプローチの真摯さや、純粋に読み物として面白いので、最近好んで読んでいた。

 

スローターハウス5 カート・ヴォネガット・ジュニア

ヴォネガットは、人への、突き離すような態度と優しさが同居しているのが好きだ。『タイタンの妖女』という大傑作では、非神話的な圧倒的外部に振り回される、二人の人間をユーモラスに、そして少し情をもって描き切っていた。

そして、今作では自伝的な側面を持ち、どうしてそういった作品を書くのかのキーにもなる、戦争体験を、これまた彼らしいユーモアで、しかし克明に描いていた。

 

西洋美術の歴史1 ギリシアとローマ、美の曙光 (中央公論新社)

軽く触れてはきた西洋美術史を一度詳しくおさらいしたいと思って読み始めた。読む美術史というテーマのもと、古代ギリシャから始まり、現代美術まで紹介してくれる、全8巻。

文庫本よりも一回り大きいサイズで、600ページほどとそれなりに分量がある。だから結構細かく、時代の風俗などを交えて紹介してくれるので、面白い。ただやはり美術は、文字情報ばかりだと厳しい部分はある。図版はもちろんそれなりに掲載されているものの、図版に載ってない作品の解説が多分にあり、自分で作品の画像を見つけようにも、古代だと、作品名で検索するだけでは見つからないので、なかなか困る。

総合的には、読んでよかったと思うし、実際に年末年始にヨーロッパの美術館のギリシア、ローマコーナーに行くと、これはギリシア彫刻のローマ時代のコピーだなとか、胸像はローマのものだなとか、色々知識と照らし合わせて見れて、楽しかった。大人の嗜み感がすごい。

 

スピノザーー読む人の肖像 國分功一郎

最初の対談本にもいた、國分功一郎の新書。

國分功一郎の本は、対談本でも指摘されていたけど、哲学の本でもミステリーのように謎をしこみ、読者の好奇心を煽って読ませる工夫が詰まっている。この本でも、常にスピノザは何を問うたのか?その問題を追うという明確なテーマのもとで、スピノザの人生と著作を時系列に沿って見ていく。

ドゥルーズの哲学原理』も面白かった。中動態は途中まで読んで、放置中だけど。